ウルトラマンシリーズの演出で知られる実相寺昭雄監督の同名の短編小説を映画化したエロチック・ドラマ。郊外の住宅地を舞台に巻き起こる夫婦間の緊急事態をコミカルに描く。『ブラブラバンバン』のさとう珠緒が、コスプレまでして夫を奮い立たせようとする人妻を熱演。その優柔不断な夫を『感染列島』の宮川一郎太がひょうひょうと演じている。結婚後も、愛やセックスに関して次第に広がっていく男女の間の深い溝が興味深い。
東京都心から2時間ほどの平凡な住宅地、希望ヶ丘。ここに住む零細企業の宣伝マン、猫田千吉(宮川一朗太)と専業主婦の弘子(さとう珠緒)の夫妻は35年ローンで購入した家の支払いに追われ、節約の日々。ある日、千吉のED(=勃起不全)に悩む弘子は、風水好きの主婦仲間に夫婦生活の危機を指摘される。焦った弘子は、言われるままに風水にのめりこんでいく。一方、弘子の想いを知らない千吉は、近所の知り合いに誘われ、希望ヶ丘の夫たちが作った“男の自立の会”に入会。その実態は妻とのセックス拒絶を目指す男たちの集まりだったが、千吉には心安らぐ場となった。こうして、子供を欲しがる弘子とEDの千吉の溝はますます深まっていく。さらに、活気のない会社に嫌気が差す千吉だったが、社内で繰り広げられる専務と秘書の貞江の情事の盗撮を密かな楽しみにしていた。だが、ある日それがバレ、網走への異動を命じられてしまう。危機的な状況が、千吉と弘子に和解のきっかけをもたらす。弘子は風水をやめ、千吉はEDの治療へ行くことを決める。さらに弘子は、千吉に頼るばかりでなく、自分も仕事を始めようと動き出す。ちょうどその時、“男の自立の会”のメンバー、池山が究極のリアルドールを完成させる。それは、千吉の願望を反映し、貞江の姿を模したものだった。そのリアルドールの実験に臨む千吉。すると、弘子相手にはまったくダメだった男の機能が蘇ってくる。夢中でリアルドールを抱く千吉。だが、その光景を弘子が目撃してしまう。彼女は、リアルドールを人間の女性と勘違いして包丁で滅多突きにする。精神を崩壊させる弘子。やがて、正気を失った弘子を連れて、千吉は夕方になると毎日タンポポを摘みに行くようになる。子供のような弘子の姿に、千吉は胸が締め付けられるのだった。
スタッフ
- 監督: 高橋巖
- 原作・企画: 実相寺昭雄 / 実相寺知佐子
- 脚本: 松本恭佳
- 製作: 小林洋一
- プロデューサー: 太田裕輝 / 鈴木政信
- 撮影: 八巻恒存
- 照明: 丸山文雄
- 録音・整音: 星一郎
- 美術: 内田哲也
- ヘアメーク: 水野みゆき
- 衣装: 川崎健二
- 音楽: 松永宏紀
- 編集: 矢船陽介
- アシスタントプロデューサー: 中川憲子
- 助監督: 安原正恭
キャスト
- さとう珠緒
- 宮川一郎太
- 伊藤克信
- イジリー岡田
- 桐島優介
- 古谷暢一
- 小川はるみ
- 伊藤聖子
- 川村亜紀
- 紫とも
- 桜金造
- 範田紗々
- 他
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