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インセプション

解説
人の潜在意識に潜入してアイデアを盗むスパイが挑む、最後の危険な任務を描くサスペンス・アクション。監督は、「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン。出演は、「シャッター アイランド」のレオナルド・ディカプリオ、「ラスト サムライ」の渡辺謙、「(500日)のサマー」のジョセフ・ゴードン・レヴィット

ストーリー
ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人がいちばん無防備になる夢の中にいる状態のときに、その潜在意識の奥底に潜り込み、他人のアイデアを盗み出すという犯罪のスペシャリストである。危険極まりないこの分野で最高の技術を持つコブは、陰謀渦巻く企業スパイの世界で引っ張りだこの存在だった。しかしそのために、コブは最愛のものを失い、国際指名手配犯となっていた。そんな彼に、幸せな人生を取り戻せるかもしれない絶好のチャンスが訪れる。そのミッションは、インセプションと呼ばれるものだった。それは彼の得意とするアイデアを盗むミッションではなく、他人の潜在意識に別の考えを植え付... ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人がいちばん無防備になる夢の中にいる状態のときに、その潜在意識の奥底に潜り込み、他人のアイデアを盗み出すという犯罪のスペシャリストである。危険極まりないこの分野で最高の技術を持つコブは、陰謀渦巻く企業スパイの世界で引っ張りだこの存在だった。しかしそのために、コブは最愛のものを失い、国際指名手配犯となっていた。そんな彼に、幸せな人生を取り戻せるかもしれない絶好のチャンスが訪れる。そのミッションは、インセプションと呼ばれるものだった。それは彼の得意とするアイデアを盗むミッションではなく、他人の潜在意識に別の考えを植え付けるという難度の高いミッションで、ほぼ不可能だと言われていた。それでもコブは、それを最後の仕事と決め、業界トップの類まれな才能をフルに活用し、万全の準備をしてミッションに挑む。しかし、予測していなかった展開が彼を襲う...続きを読む
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アイデアを盗むスペシャリスト

クリストファー・ノーランらしいトリッキーな構成と映像で魅せる圧倒的なエンターテインメント大作だ。予告編でも流されている「夢」での映像はどれもこれも凄まじいもので、前半の複雑な世界観の説明が続く部分もこうした映像の面白さのおかげで興味が持続する。流石に「ダークナイト」を超える、という作品にはならないものの、ダークでスタイリッシュな作風は相変わらずで、「ダークナイト」とは違った楽しさに満ちた刺激的な作品になっている。

基本的なストーリーは、主人公が自分の犯罪歴を消すためにプロフェッショナルを集めてチームを作り、あるミッションを遂行する、という極めてシンプルなものなのだが、そのために導入されている「夢」に関するルールがやや複雑で、それに関する仕掛けや演出が多い為に、一度見ただけでは完全には把握しきれない点が多い。したがってぼんやりと観てしまうと置いていかれる可能性がある。

とはいえ、その欠点を補って余りある迫力あるアクションシーンは素晴らしい出来で、特に無重力状態でのアクションは誰もが息をのむはず。他のシーンも標準以上に緊張感のあるアクションの連続だし、現実世界とは異なるルールで動く世界での作戦遂行シーンはどこを切っても楽しい。単純に映像とサスペンスの洪水に身をゆだねるだけでも楽しめるだろう。
ラストカットでは「どうだ」とほくそ笑むノーランの顔さえ重なって見える。設定を活かしたミステリ的なタネ明かしといい、良く出来ている。

上記の通り複雑な要素が多く、なんとなく観てしまうと「矛盾だ!」とか「説明不足だ!」と言われてしまいそうだが、見れば見るほど精密に作られていることがよくわかる、奇跡的な大作と言って良い作品である。こんな作品に大金をかけ、さらにヒットしてしまうアメリカの底力を感じずにはいられない。
おそらく何度も観ることを前提とした作品なので、文句を言う前にDVDの一枚でも買って複数回観賞してみたいところだ。そこまでする価値のある作品だと、敢えて断言する。

潜在意識の奥底にまで潜り込み

情報を奪うスパイとして活躍する主人公だが、直接的に書類やデータを奪うのではなく、
情報を持っている人を眠らせて夢の中で情報を盗むという設定。

間違いやすいのだが、「誰かの夢の中に入り込む」というイメージではなく
ターゲットを含む複数の人間で同じ夢を共有する。
そのため、ターゲット以外の意識も夢に反映される。

そういう設定が独特で魅力的なのは確かだが、冒頭の編集の仕方がかなり意地悪で、
時系列をいじってラストシーンから始まる上に回想シーンに飛び、
さらに夢の中の出来事だったりするので
最初の30分ほどは意味がまったくわからないまま話が進む。
あまりにも何のことかわからなくて不安になるが、
劇中で初心者にレクチャーするシーンでやっと説明をもらえる。

そこさえ乗り越えれば一気に内容が面白くなってくる。
もともとビジュアルのインパクトは素晴らしく、
いろいろな世界観での強烈な映像が楽しめるのは見事。
これだけ衝撃的な見た目はなかなか味わえない。

どれがどのレベルの夢で何が現実かをつかむのが大変だが、
それこそがこの作品の魅力とも言える。
キャラクターも魅力的だし、面白い作品には違いない。
ただ、非常にややこしいのも確かで、観終わった後に即2回目を観たくなる作品。

犯罪分野において最高技術をもつ

「ダークナイト」から2年、ようやく全米公開日が決まり、これから始動していくであろうバットマンの最新作「ゴッサム(仮題)」に今から思いを馳せる者として、クリストファー・ノーランの新作を貪るように鑑賞した。面白かった。これは、いかにもノーラン・タッチと呼べる異色のSFアクション。
人間の潜在意識の仮想世界である夢の中に侵入し、当事者のアイデアを盗み取ると言う特殊能力に長けた選ばれし者たちの更なるミッションは、意識を読み取るだけでなく、思い通りにインセプションする(植え付ける)事だった、、、。
多重化された夢、更に現実世界と仮想世界との物理的時間の差異から、幾多のシチュエーションが輻輳する。小気味良いアクションの連打と早いテンポで展開を追うのがやっとの部分もあるが、頭を整理すれば、決して難解な映画ではない。
ノーランが構築したお約束の論理を受け入れ、身を委ねれば、その映像マジックが存分に楽しめるが、個人的に好きなのは、実は、破壊のスペクタクルや無重力アクションの数々よりも、都市空間がイメージのまま出来上がるトリック映像や、エッシャーの絵よろしい錯覚の効果だ。
誰も観た事がない映像の連続、との評価も聞くが、他のレビュアー諸氏の指摘通り、「マトリックス」や「女王陛下の007」を始め、断片的には数多くの映画たちのシークエンスを想起させる。町がすくっと起き上がるイメージはアレックス・ブロヤスの「ダークシティ」にもあったし。なんせ、夢の世界の具現化だけに、ここら辺は、ノーラン自身の映画的記憶か、好きな映画へのオマージュなのかも知れないが、でも、そんな事は措いて、ここは、ノーランのハリウッド超大作での飽くなき作家性の追及に拍手したい。
そして、今作のもうひとつの見処であるレオとマリオン・コティヤールの関係。彼の深層心理に沈潜し、絶えず罪悪と呵責の念で支配する彼女との顛末がどうなるのか、どちらとも取れるラスト・ショットも、いかにもと思え、気に入った。
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