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のだめカンタービレ 最終楽章 後編

解説
二ノ宮知子原作の同名人気コミックの実写ドラマ化の映画版後編にして、シリーズ完結編。ヨーロッパを舞台に、天才的なピアノの才能を持ったのだめこと野田恵の恋の行方を描く。監督は、ドラマ版で演出を務めた川村泰祐。出演は、「キラー・ヴァージンロード」の上野樹里、「MW ムウ」の玉木宏、「なくもんか」の瑛太

ストーリー
のだめ(上野樹里)と千秋(玉木宏)は、離れ離れに暮らすことになる。エリーゼ(吉瀬美智子)は千秋に、孫Rui(山田優)と、千秋がヨーロッパデビューを飾ったウィルトール・オケとの共演話を持ち掛ける。一方、オクレール先生からコンクールの許可が下りず、のだめは焦り始める。そこに、ヴァイオリンコンクールに出る清良(水川あさみ)を応援しに来た峰(瑛太)と真澄(小出恵介)が現われる。久々の再会に、千秋も姿を見せる。彼らと意気投合したフランク(ウエンツ瑛士)、ターニャ(ベッキー)、黒木(福士誠治)らと共に、一行はコンクール会場へ向かう。そのコンクールのピアノ部門で聴いた... のだめ(上野樹里)と千秋(玉木宏)は、離れ離れに暮らすことになる。エリーゼ(吉瀬美智子)は千秋に、孫Rui(山田優)と、千秋がヨーロッパデビューを飾ったウィルトール・オケとの共演話を持ち掛ける。一方、オクレール先生からコンクールの許可が下りず、のだめは焦り始める。そこに、ヴァイオリンコンクールに出る清良(水川あさみ)を応援しに来た峰(瑛太)と真澄(小出恵介)が現われる。久々の再会に、千秋も姿を見せる。彼らと意気投合したフランク(ウエンツ瑛士)、ターニャ(ベッキー)、黒木(福士誠治)らと共に、一行はコンクール会場へ向かう。そのコンクールのピアノ部門で聴いた『ラヴェル ピアノ協奏曲』に心を奪われたのだめは、千秋と共演するときに演奏したいと決意する。しかしテオ(なだぎ武)から、この曲が千秋と孫Ruiが共演する演目だと聞き、大きなショックを受ける。2人の演奏は大成功を収めるが、のだめは想像以上の演奏に衝撃を受ける。翌朝、のだめは千秋に結婚を申し込む。千秋は冗談だと思って取り合わないが、だんだん不安が募っていく。自身を喪失したのだめの前に、シュトレーゼマン(竹中直人)が現われる。シュトレーゼマンはのだめに、自分のプラハ公演での共演を提案し、のだめはそれを受け入れる。そのことをエリーゼから聞いた千秋は、プラハへ駆けつける。シュトレーゼマンのタクトが振り下ろされ、『ショパン ピアノ協奏曲』が始まる...続きを読む
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のだめカンタービレ

個人的には前編には、いろいろと細かなところに気になるところや、不満も多くて、素直に良いといえなかったのですが、後編は見事!脱帽です。とても素晴らしい出来映えだったと思います。前編でもそうでしたが、最初のTVドラマから、のだめ、千秋共に質量両面で経た歳を、上野樹里さん、玉木宏さんのそれぞれが、自然に受け止めていて、二人が次第に本格的にプロフェッショナルな音楽家に成長してゆくうえで、ぶつかる様々の苦悩や障害に次第に正面から向き合ってゆく姿が感動的。とくに、ここでは樹里ちゃんの終始、孤立感や嫉妬、劣等感、閉塞感や抑うつ感のなかで悶々と苦しむのだめの痛々しいまでの姿を演じるところが凄い。おちゃらけや、ボケのない「笑わないのだめ」を演ずる樹里ちゃんには、ドラマ以来ある程度ステロタイプ化された「のだめ」のイメージを良い意味で壊しているところに、女優としての大きさが実感できます。特に、ショパンの協奏曲を見事に弾ききって大評判になってから、皮肉にもそれがために却って潰れそうになるのだめ。そんなのだめが、最後のシーンで、ドラマ以来の天真爛漫な子供のような笑顔と変わって、高みを目指す芸術家としての気高さも備えた、凛とした笑顔に変貌するまでの展開(これは敢えて書きませんので、是非映画でごらんください)など、息を呑む説得力があります。そして、アマチュア的な「自由に楽しく」のモットーとも違う、「幾度でも、立ち向かって、自分を超えて行く」という真摯な芸術家としての決意に至る展開にみる躍動感は、実に清々しいし、カッコ良い終わり方でした。少し前になりましたが、某週刊誌があるテレビドラマでの樹里ちゃんを「のだめの一つ覚え」と揶揄していましたが、今回の後編をみて、樹里ちゃんはそんな単純な女優さんではないんだということを確信し、ファンとしては心強く、嬉しくなりました。

グランドフィナーレ

「のだめカンタービレ」の原作も実写も両方好きですが、最終巻辺りにかけては、この実写版の方が、とても好きです♪

原作は、最後までギャグのテイストを織り込みつつ、一気に読める楽しさがありましたが、その分、心理描写がややさっぱりとしていて、のだめの心情が読み取りにくい面がありました。 
そこを映画の方では、上野樹里さんならではの解釈で観る側が納得出来る風に演じてくれたのが良かったです。

例えば、樹里さんが映画雑誌のインタビュー等で「のだめにとって、コンチェルトというのは男女の恋愛関係を表すとても重要な意味を持つので、自分の初めてのコンチェルトは絶対に千秋とすると信じて頑張っていた。  けれども、その大事な初コンチェルトを他の人(ミルヒー)としてしまった。 あんなに夢見ていた初共演を千秋以外の人としてしまったのは、もう千秋の事を好きじゃないからなの?と思い込んでしまう。 だから千秋の事を好きでいられなくなるというのは、ミルヒーと共演した為に新品でなくなってしまい、千秋の事を追えなくなったというのが大きくて、その方が生身の人間ぽく見えるので、そういう感情を込めて演じました」という様な事を語っていて、恋愛と音楽を一緒のものと考えてしまっている、のだめの心情が、この「最終楽章 後編」ではリアルに伝わってきました。

その事を意識してかは判りませんが、原作と映画では同じストーリーの流れでも見方が違うふうに見え、そこには良い意味で原作とは異なる、もう一つの「のだめ」の世界がありました。
原作は、のだめ主体で、実写版は千秋主体という感じでしょうか・・・。原作の千秋は、少し、のだめに振り回されているところがあるけれど、実写版では振り回されている感はなく最後まで千秋がのだめを引っ張るという、ぶれない強引さがありました。(玉木さん自身が雰囲気的に男性の強さがある俳優さんなので、その影響も大きいと思います)

そして、見所の一つでもあるミルヒーとのコンチェルト。 原作では、やる気満々のふくれっ面で登場し自ら進んでピアノに挑み、初コンチェルトに対するこだわりも余り強くなく、それよりも、プロデビューして見返したい、千秋に認めてもらって最後は千秋の所に行くつもり。という感じでしたが、映画では、千秋を失うかも知れない不安の中、心を失くした隙にミルヒーの魔法にかかってしまい、催眠状態のまま自分の意に反して操られる様に望まないピアノを弾いている様が印象的でした。 

原作では共演の後、控室で嬉しそうにピョンと飛び跳ねていたところも、映画では自分が何をしてしまったのかわからない。取り返しのつかない事をしてしまったという後悔と千秋に顔向け出来なくなった時の怯えているような表情が切なかったです。

その為か、のだめのデビューも原作では、天才的な演奏で千秋を(ピアノでは)越したかに見えましたが、映画ではミルヒーの力添えもあり、やっと千秋に近い位置まで追いつけたという感じでした。
でも、その方が観ていて、しっくりきました。(原作を読んだ時は、天才の素質があるとはいえ、ピアノに本気で取り組んだのが遅い上に、無名のまま、いきなりデビューして世界中から注目を浴びるというのは、個人的には非現実的に思えていたので・・・)

映画の様に一応デビューは出来たものの、これからどうなるかは判らない。けれど、これからもお互いを目標とし、二人で壁を越えながら音楽の道を歩んでいく。というラストは観終わった後、気持よかったです。

現実の世界に本当に、のだめと千秋がいると思わせてくれた、樹里さんと玉木さんの心情に迫った演技は、とても素晴らしかったです。

カンタービレ

紫色のドレスののだめ。成長と進化とは、こういうものかもしれません。
前編と千秋コンプリートを観たら、やはり後編が観たくなる。
音楽ファンを漫画に、漫画ファンを音楽ファンに、そして未来の音楽を作る子供たちに、音楽ってすごいね、楽しいね、を映像にしてくれた皆さんに感謝。
プロもアマチュアも楽しめる、世紀に残る傑作だと思います。

樹里ちゃん、玉木さん、俳優さん、スタッフさん、プロの音楽家の皆さんと、たくさんの音楽ファンが、のだめをキーワードに集ったからこそできた作品。
のだめを創り、愛して、育ててきた皆さんに拍手。
まずは後編を予約して、気軽に身近で開催される生のコンサートに足を運びましょう。
そこには、千秋やのだめがめざし続ける新世界があるはずだから。
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