ヴィエリチカ岩塩坑は、ポーランド共和国マウォポルスカ県にある岩塩の採掘坑。クラクフ首都圏内の都市ヴィエリチカにある13世紀以来稼働している採掘坑で、いまなお食塩の生産を行っている。1044年の創業(ポーランド王国のクラクフへの遷都は1038年)。廃坑になっていない岩塩坑としては世界最古で、同時に世界最古の製塩企業でもある。深さは地下327m、全長は300km以上に及ぶ(廃坑になっているものも含めると世界最古の岩塩坑は同じくポーランド共和国マウォポルスカ県にあるボフニャ岩塩坑)。特筆すべきは、観光客向けの3.5kmの坑道で、歴史上や神話上の様々なモチーフを象った彫像が並んでいる。その全ては、坑夫たちが岩塩を彫り上げたものである。さらには屈曲した部屋や礼拝堂が岩塩で形成され、岩塩採掘史の展示までがなされている。さながらそこは岩塩製の地下大聖堂のごとき景観を呈しているのである。 この岩塩坑には年間110万人もの観光客が訪れる。長い歴史においてこの岩塩坑を訪れた有名人には、ニコラウス・コペルニクス、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、アレクサンダー・フォン・フンボルト、ドミトリ・メンデレーエフ、イグナツィ・パデレフスキ、ロバート・ベーデン=パウエル、カロル・ボイティワ(後のヨハネ・パウロ2世)、ビル・クリントンなどがいる。第二次世界大戦中には、この岩塩坑は占領したドイツ軍が軍需物資の製造拠点として使用した
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