地味で平凡、彼氏なし。生まれ育った長崎で単調な毎日を送る市役所勤めの目立たない女の子・サユリ(中谷美紀)は、妄想の中でポルトガルのリスボンに暮らし、出会う男性に"自分だけの王子様ランキング"をつけて退屈な日常をやり過ごしている。クリスマスを1ヵ月後に控えたある日のこと、長年にわたり王子様ランキング1位を独走中の憧れの先輩・聡史(大沢たかお)と、OB会に向かう路面電車の中で偶然再会する。しかもなぜだかいいムード! クリスマスを前にして、舞い上がるサユリ。しかし、ふたりの仲が進展すればするほど、憧れの相手と不釣合いな自分の恋に自信が無くなっていく・・・クリスマスまであと1ヶ月、妄想のリスボンと現実の長崎のはざまで揺れ動く、サユリのはじめてのクリスマスの行方は・・・。
地味で平凡な自分に対し、コンプレックスを感じているサユリ。そんな彼女は生まれ育った長崎をポルトガルのリスボンに見立てたり、勝手に知っている人を自分にとっての王子様に見立てたり、妄想しまくりの日々。そんな彼女が大学時代の憧れの先輩・聡史と再会。そこでサユリは彼のために必死になって綺麗になろうと努力を始めるのだが…。 女性をターゲットとした映画で“ヒロインの変身”は『マイ・フェア・レディ』を筆頭にくり返し扱われてきたテーマ。本作でも気持ちいいくらいに中谷美紀が少女マンガ好きなおたく少女から、魅惑的な女性へと変貌する。惜しむらくは、この手の話は現実と非現実のバランスが大切なのだが、現実的であらねばならないシーンで「こんなことありえない」的な展開(構図などをちょっと変えたり、役者の芝居を抑え目にすることで実際はかなり異なるはず)が見えてしまうこと。そういう部分がキッチリと演出されていれば、文句ない恋愛ドラマとして完成したはず。せっかく現実に逃避せず、現実をキチンと見極める素晴らしさが丁寧に描かれた脚本だっただけにちょっともったいない。
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