日本アカデミー賞(にっぽんアカデミーしょう)とは日本アカデミー賞協会が主催する日本の映画賞である。 テレビの普及によって1950年代後半以降、観客減少に悩まされた映画関係者らが邦画界の活性化のためアメリカ合衆国のアカデミー賞を模し、その「暖簾分け」という形で設立し1978年に初開催された。 創設の数年前から松竹の城戸四郎会長らがその種のイベント開催を模索していたが、資金面での見通しが立たず難航。その後、電通が音頭を取り放送局に日本テレビを斡旋。東映社長・岡田茂を中心に邦画大手4社と業界関係者らの協力により、3か月間で第1回開催にこぎつけた。 運営費の主要財源は、各映画会社の分担金や授賞式の放映権料である。同趣旨の映画賞に、英国アカデミー賞がある。フランスのセザール賞もアカデミー賞を参考に創設されたものだが、「暖簾分け」の形式は採っていない。 日本アカデミー賞は国内の他の多くの映画賞とは異なり、作品賞・監督賞・脚本賞・俳優賞のみならず技術部門賞も設けている。
2000~年日本アカデミー賞 最優秀作品賞
賞の概要
賞の選出は、日本アカデミー賞協会会員の投票によって行われる。日本アカデミー賞協会は、日本国内の映画関係者によって構成される。会員は主要映画館でのフリーパスの特権が与えられている。会員は1980年12月末時点で約1200人だったが、2007年時点では4000~5000人に達している。
選考の対象となる作品は、前々年12月から前年12月までに東京都内で公開された映画。かつては前年の1月から12月までだったが本家アカデミー賞の開催が3月下旬から2月下旬に繰り上がったのと時を同じくして賞の開催時期を早め、それに伴い対象となる作品の公開期間も前倒しした。
授与される賞は正賞が15部門あり、その他に新人俳優賞などがある。正賞の優秀賞(ノミネートに当たる)と新人俳優賞は、投票(協会員全員)により選ばれ、そのうち正賞については優秀賞受賞の中より最優秀賞が投票(協会員全員)により選ばれる。
アニメ作品については長らく優秀作品賞にノミネートされることはなかったが、1998年の『もののけ姫』が初めて最優秀作品賞を受賞した。2007年からは本家のアカデミー賞がアニメ部門を創設したことにならい、独立部門としてアニメーション作品賞が新設された。
受賞作の傾向
日本アカデミー賞は、映画業界自身が選出する映画賞としての特別の意義を持つと同時にスタッフ部門賞を設けている映画賞としての希少性も有している。国内の映画賞の中では新しく立ち上げられた映画賞だが授賞式の場で初めて最優秀賞を公表するイベント性を持ち、それを支える主催者の日本アカデミー賞協会の影響力もあって近年映画業界においてその地位を向上させつつある。
しかし、賞を選出する日本アカデミー賞協会は映画監督や俳優といった人々も含むもののその3割が日本映画製作者連盟(映連)加盟会社、すなわち松竹、東宝、東映、角川映画の4社とその系列企業社員により構成されている。そのため優秀賞を選ぶ時点で上記4社の製作あるいは配給した作品が有利になり、他の映画会社の配給作品が選ばれるチャンスが低いとされている。
また、約4000人のアカデミー会員が主要な作品の全てを観賞するのは困難である。それゆえ少数の選考委員による審査方式の映画賞と違い、一定以上の興行収入を残していないことにはそもそも会員による評価の対象にすらならないと考えられる。よって単館系公開など、小規模上映の作品は不遇を強いられることになる。
これらの結果、実績が大きく認知度の高い監督やその作品、俳優らに受賞が偏重する大衆的な支持を集めると同時に内容上も高評価を残した作品が主要部門賞を独占するといった傾向が強い。
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