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アカデミー賞(アカデミーしょう、Academy Awards)は、アメリカ映画の健全な発展を目的に、監督、俳優、スタッフを表彰し、その労と成果を讃えるための映画賞。 アカデミー賞は授賞式前年の1年間にアメリカ国内の特定地域で公開された作品を対象に選考され、また映画産業全般に関連した業績に対して授与される。

2000~年最優秀作品賞 受賞作品
2000年 2001年 2002年
2003年 2004年 2005年
2006年 2007年 カンヌ国際映画祭
受賞作品一覧


概要
「アメリカ映画の祭典」という冠詞を付けられることが多い事からも分かるとおり、基本はアメリカ映画を対象とした映画祭であり、その抜群の知名度に反して「アカデミー賞」自体は国際映画祭ではなく、世界三大映画祭を中核とするFIAPF(国際映画製作者連盟)公認の映画祭にも含まれてない。

しかし、その知名度と世界三大映画祭よりも古い歴史を持つ権威ある賞であるため、マーケットへの影響力は国際映画祭の各賞以上に大きく、受賞結果が各国の興行成績に多大な影響を与える。このため日本をはじめ各国では、「アメリカ映画の~」という表現を抑えて「映画界最高の栄誉」などと、あたかも世界一の映画賞のように報道する傾向にある。

受賞すると、賞の名称を刻印したオスカー像と呼ばれる金メッキの人型の彫像が送られ、賞金の類は一切付録されない。

毎年11月に予備選考が行われ、翌年の1月にノミネートが発表される。その後、映画芸術科学アカデミー会員の投票が行われ、2月もしくは3月に授賞式が行われる。第82回の開催は2010年は3月7日、日曜日である。


沿革
もともとアカデミー賞の授賞式は1929年に設立された「映画芸術科学アカデミー」の夕食会の一環として始まった。第1回は1929年5月16日にロサンゼルスにあるルーズベルトホテルで行われた夕食会の際に舞台上で、3カ月前に授賞を通知しておいた受賞者を招待して賞を贈与された。(当初はオスカー像ではなく、同様のデザインを施した楯が送られた。)

第1回授賞式で、『第七天国』で女優賞を受賞したジャネット・ゲイナーによれば、「これからも互いにいい仕事をして頑張りましょうという程度の、ちょっとした内輪の集まりだったのよ」と当時の様子を振り返っているとおり、授賞式は5分程度で簡単に済まされていた。

第2回から地元ラジオ局により実況が開始され、第17回から全国放送となった。エンタテインメント色が色濃くなったのは、第二次世界大戦で前線にいた兵士達の耳を喜ばせるためだったという。

TV中継が開始されたのは第25回の授賞式から。中継を担当したのはNBCであった。当時の視聴率はNBC開局以来の高記録であった。現在はABCが中継している。

授賞式会場は、2回目以降はアンバサダー・ホテルやビルトモア・ホテルが使用され、晩餐会形式で執り行われた。回を増すごとにスケールが拡大していき、やがて収容人数の多い映画館で行われるようになった。第22回から11年間はパンテージズ・シアター、第33回からはサンタモニカのシビック・オーディトリアム、第41回からはドロシー・チャンドラー・パビリオン、第63回からはシュライン・オーディトリアム、第74回からは現行のコダック・シアターで行われている。コダック・シアターとは10年の契約であり、現在のアカデミー会員数は既に収容人数の5800人を超えているため、手狭になるのも時間の問題であるといわれている。

名称
「Academy Awards」は米国・日本国他において商標登録されているため、これらの国では当該商標権を侵害する形での無断使用は出来ない。一部において日本語表記の「アカデミー賞」に、登録商標を示すとされる®(丸アール)マークをつける向きがあるが、そもそも日本語表記の「アカデミー賞」は(日本国において)商標登録されていない事に留意が必要である。(登録商標ではないとはいえ、不正競争の目的で名称を利用すれば不正競争防止法違反に問われる可能性はある)。

日本の日本アカデミー賞やイギリスの英国アカデミー賞などは、ロイヤリティを支払ってその名の使用許可を得ている。一方香港最大の映画祭「香港電影金像獎」は、本来の名称よりも「香港アカデミー賞」の俗称のほうが有名であるなど、アカデミー賞の権威は非常に高い。

また、例えば料理や建築、文学や美術などさまざまな映画以外の賞においても、「○○界のアカデミー賞」という具合に、その権威の高さを表す冠詞として扱われることが多い。音楽出版社の音楽之友社が主催する、優れたクラシック音楽ディスクに贈られる年間賞は、その名もずばり「レコード・アカデミー大賞」である。

選考
選考はアメリカの映画産業従事者の団体、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の会員の無記名投票が行われ、所定の賞を授与される。

基準
アカデミー賞は、原則として前年の1年間にノミネート条件(ロサンゼルス郡内の映画館で連続7日以上の期間、有料で公開された40分以上の長さの作品で、劇場公開以前にTV放送、ネット配信、ビデオ発売などで公開されている作品を除く、など)を満たした映画作品について扱われる。 なお「劇場公開以前にTV放送などで公開されていない」という基準については、かつて『Shall we ダンス?』が米国内での公開前に日本国内で日本テレビ系列でTV放映されたことが原因でノミネート対象から外されたことがあるなど、基準が曖昧な時期があったが、現在は米国外で公開された映画については「映画が最初に公開されてから90日間、劇場公開以外の方法で公開されていない」「ロサンゼルスでの劇場公開の前に米国内で劇場公開以外の方法で公開されていない」の2条件を満たすことが要件とされている。 また長編アニメ賞、外国語映画賞、ドキュメンタリー映画賞など、賞によっては独自のノミネート条件を設けているものがある。詳細はそれぞれの賞の記事を参照のこと。

選出
投票権を持つ映画芸術科学アカデミー会員は、大部分がハリウッドの業界関係者による編成であり、新聞記者や映画評論家など公平な立場で判断できる分野の会員が少ないのが特徴。各賞の投票についても、例えば「アカデミー監督賞」であればハリウッドで働く映画監督の会員がノミネート作品選定に投票するなど、賞に応じた業務に携わる会員が担当する。しかし、作品賞のノミネートおよび各賞ノミネート発表後の本選の投票は全会員が行うことができる。ゆえに、最終的には各部門の専門家以外の評が結果を左右する。

情報管理
最終投票は授賞式の一週間弱前に締め切られ集計されるが、結果は厳重に封印されて、大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパースの金庫に保管され、結果書類は当日、事務所の職員2人が授賞式会場に直接持ち込む。(生中継では、会場に入っていく会計事務所の職員が映されることもある。)賞の授与担当プレゼンターがステージで開封するまでは、外部へは一切知らされない。 受賞結果について、当初は報道の関係上マスコミには事前通達してあったが、1939年に『風と共に去りぬ』が作品賞を受賞した際に、一部新聞が主宰者との協定を破って前日に抜け駆け報道をしたため、翌年より前記会計事務所の管理するシステムとなり、今日に至る。

特色と現状
アカデミー賞はハリウッドの映画業界関係者が選考を行うことから、各賞の選出については、アメリカの国情や世相などが色濃く反映され、必ずしも芸術性や作品の完成度の高さでは選ばれない。例えばカンヌ国際映画祭などの著名な国際映画祭で大賞を受賞した作品が、アカデミー賞ではノミネートもされないことが多いのは有名。故に、どうしても選出作品の足並みが揃ってしまう他の国際映画祭では見られない、独特の傾向と盛り上がりを見せる映画祭である。
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