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スタッフ
監督:キャロル・リード 製作:ハル・B・ウォリス 脚本:ピーター・シェーファー 撮影:クリストファー・チャリス 音楽:ジョン・バリー
キャスト
ミア・ファロー トポル マイケル・ジェイストン マーガレット・ローリングス アネット・クロスビー
発売日: 2010-11-26
解説
人間が本来最も大切にすべき心あたたまる人と人とのふれあいを、ロンドンの街を背景に描く。製作はハル・B・ウォリス、監督は「オリバー!」のキャロル・リード。ピーター・シェーファーが書いた1幕物の芝居の台本を彼自身が脚本化した。撮影はクリストファー・チャリス、音楽はジョン・バリー、編集はアニー・V・コーターズが各々担当。出演はミア・ファロー、トポル、マイケル・ジェイストン、マーガレット・ローリングスなど
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ストーリー
英国の上流階級に属し地位も財産も申し分ない1流会計士チャールズ(マイケル・ジェイスント)には深刻な悩みが1つあった。それは新妻ベリンダ(ミア・ファロー)が、この頃、浮気しているのではないか、という疑いにつきまとわれていたからだ。チャールズは私立探偵のクリストフォルー(トポル)に妻の調査を依頼し、結婚のいきさつを語った。ベリンダが小さなレストランで、料理の名前さえよく覚えていない新米のウエイトレスをしていたこと、そしてそのあどけなさに惹かれて結婚を申し込んだこと。だがカリフォルニアでヒッピーの群れに身を投じたこともある自由人のベリンダにしてみれば、結婚後の... 英国の上流階級に属し地位も財産も申し分ない1流会計士チャールズ(マイケル・ジェイスント)には深刻な悩みが1つあった。それは新妻ベリンダ(ミア・ファロー)が、この頃、浮気しているのではないか、という疑いにつきまとわれていたからだ。チャールズは私立探偵のクリストフォルー(トポル)に妻の調査を依頼し、結婚のいきさつを語った。ベリンダが小さなレストランで、料理の名前さえよく覚えていない新米のウエイトレスをしていたこと、そしてそのあどけなさに惹かれて結婚を申し込んだこと。だがカリフォルニアでヒッピーの群れに身を投じたこともある自由人のベリンダにしてみれば、結婚後の彼の仕事一辺倒の生活には息のつまる毎日だった。馴れない社交や、上流人の生活をのがれて、人間らしいささやかな愛と自由を求めて、浜辺で夕陽を眺めたり、サファリ公園でイルカを見ていたり、イーストエンドのパブで踊ったりしていた。クリストフォルーはベリンダの追跡を開始した。彼女は最初のうちは彼を気味悪がっていたが、次第に彼のやさしさと愛情にあふれたまなざしに心ふれあうものを感じるようになった。語ることのない、みつめあうだけの追跡。幾日かの間ですっかり信じあうようになってしまった。10日後クリストフォルーはチャールズに報告をした。彼女にやましいところがない、だが“恋人”がいるかもしれない、と。その報告を受けたチャールズは、ベリンダを怒鳴った。彼女は“家庭には愛が必要なのにこの家にはしきたりだけしかない。”と悲しそうにつぶやき自分の潔白を語った。“ただ、見知らぬ男が、いつも私をつけてきて、いつか心のふれあいを感じるようになったのは事実だが”と。これを聞いたチャールズはクリストフォルーのアパートへ飛びこんだ。ベリンダも後に続き、男の正体が自分の素行を調べていた私立探偵であることを知り、大きく失望した。それ以後、彼女は家に帰ってこなかった。2人は、必死に彼女を捜した。やがてクリストフォルーが彼女をみつけたのは、かつて2人が黙って歩いた熱帯植物園だった。クリストフォルーは2人がうまくいけるように案をさずけた。語らずに互いにみつめあい、1定の距離をおいていつも一緒にを。ある晴れた日、テムズ河の遊覧船には、クリストフォルーの白いレインコートを着て、少し離れたところからベリンダをみつめているチャールズの姿があった
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観終わった後いつまでも心に残る切ない...
“この映画の事を悪く言う人にお目にかかった事がない”、もしくは、“この映画が嫌いな人とは友達になりたくない”。
今作が公開された当時、映画ファンたちの間で交わされていた会話です。そして、この意見に、私も賛同します。
これは、人恋しさと、ちょっと冒険してみる好奇心と、新たな環境への不安と息苦しさと、相手を想い続ける事の切なさと辛さと、でもやっぱりその素晴らしさを謳い上げた物語。
キュートで楽しくて可笑しい魅力が詰まった宝箱の如き作品。
「第三の男」で有名なイギリスの重鎮キャロル・リードが、晩年にこんなファニーな小品を撮ったのが驚きでもあり、素敵でもあります。
シャレたラブ・コメディでもありながら、それでいて、ミステリアスなタッチが絶妙な隠し味となっています。脚本は「アマデウス」のピーター・シェイファーですからね、面白いのは当然です。
ミア・ファローの魅力が最大限に生かされた作品、ジョン・バリーの主題歌も良かったなぁ。(実は今作の原題は“The Public Eye”なんだけど、“♪ Follow,Follow ♪”と連呼されるサビのフレーズがあまりに印象的で、誰もが「フォロー・ミー」こそ原題だと思っていました)
映画の世界で生きる人たちの間でもファンが多くて、例えば、周防正行も「シャル・ウィ・ダンス」で、トポルを意識した探偵(柄本明が演じていました)を登場させていました。ご丁寧に探偵の部屋には今作のポスターが貼られていると言う確信犯ぶりでしたね。
多くの映画ファンが待ち望んだ今回の初ソフト化、ロンドンのハイドパーク、ケンジントン・ガーデンを徘徊するファローを思い浮かべながら、同様にハイドパークでロケされていた70年代シチュエーション・コメディの傑作メルヴィン・フランクの「ウィークエンド・ラブ」もいつかDVD化される事を!
ハートフルなラブストーリー
ジョン・バリーの音楽が、奇跡的なまでにこの映画にぴったりなんですね。なかでも感動したのが、私立探偵のトポルが、ベリンダ演じるミア・ファローの後になり先になり、ロンドンのあちこちを散策するシーン。「フォロー・ミー」の音楽がバックに流れるそのシーンが、もうすっごく良くて・・・。ふたりの散策の終点、ハンプトン・コートの迷路の中で一緒に食事するシーンには、胸がいっぱいになって、気がつけばぼろぼろと涙がこぼれていました。
これは、本当に素敵な一本。ジョン・バリーの哀愁をたたえた甘美な音楽と、ピーター・シェイファーの実に良く出来た脚本と、ミア・ファロー、トポル、それに会計士チャールズを演じたマイケル・ジェイストンの絶妙のコンビネーションと。素晴らしく心揺さぶられ、抱きしめたくなるくらい愛しい映画と言うしかないです。
まだ見ていない映画好きのあなたへ。この映画をこれから見ることのできる幸せが待っているあなたへ。この作品を見逃しているなんて、本当にもったいないです。機会がありましたら、ぜひ見てくださいね。
“幻の”名作
比較的マイナーな作品なのに、「午前10時の映画祭」の50本に選ばれた理由が良くわかった。
結婚当初は上流階級である夫の趣味や博識、社交について行こうとする妻ベリンダだが、次第に彼らとの距離感を感じ孤独を深めて行く。
孤独をまぎらすため時に深夜まで街を彷徨う、そんな彼女の行動に夫は疑いを抱き、
探偵を雇って尾行させるが、その探偵はいつしか彼女の孤独をいやそうと、、、
ミステリアスな主題歌に誘われるように、ベリンダを追う探偵。
妻、夫、探偵、、、三人の間で「Me」が、物語の進行とともに微妙に入れ替わっていく。
M・ファローが一連のアレン作品のヒロインに近いユルめのキャラクター(例:カイロの紫のバラ)、ヒッピースタイルで根なし草のようなヒロインを違和感なくキュートに演じている。
彼女が度々観に行くホラー映画に、ドラキュラ俳優ピーター・カッシングが毎回登場するのもイギリス映画らしいご愛嬌。
何といっても探偵役のトポルが素晴らしい。
「屋根の上のバイオリン弾き」とは全く異なるパフォーマンス、強烈な個性を放ちながら茫洋として捉えどころがない。
良くも悪くもイギリス紳士らしい夫を手堅く演じているマイケル・ジェイストンとは対照的な演技だ。
「第三の男」で頂点を極めた巨匠キャロル・リード監督の遺作、過不足のない素晴らしいソフト・エンディングが待っている。
封入リーフレットに記載された当時の社会情勢や公開映画についてのコメントは、短いけれど充実した内容で、映画好きにとってはたまらない。
この映画が初公開されたのは私の学生時代、なぜか映画館に行けずなんとか観たいと思っていた矢先のDVDリリース、期待値をはるかに上回る作品だった。
ヴィットリオ・デ・シーカ監督、シャーリー・マクレーンが7人の女性を演じたオムニバス映画「女と女と女たち」(1967)の最終第7話 ”ジーン(SNOW)”にこの映画の原典的なエピソードが登場する。
キャロル・リード監督はこれを見事にアレンジして、素晴らしい映画に仕上げている。
両巨匠に、ブラボー!!!