退屈な人生にうんざりして自殺を図ったトワ。目が覚めると変わったサナトリウムに入院していて、院長に後7日間の命と宣告される。風変わりな患者達との生活の中でトワは人生を彩る愛しいものを知っていく。そして、クロードと出会ったことで人を愛することを知り、生きることへの欲求が芽生えるのだが…
パウロ・コエーリョのベストセラー小説を、脚本家の筒井ともみが舞台を日本に置き換えて製作・シナリオ化。俳優出身で『全身と小指』などここ数年監督作品多数の堀江慶が演出に当たった問題作。人生に嫌気が差して自殺を図ったトワ(真木よう子)は、奇妙なサナトリウムで目覚め、そこの院長(市村正規)からあと7日間の命と宣告される。院内で周囲と拒絶するトワは、しかしそこで画家志望で言葉を失った青年クロード(イ・ワン)と知り合う…。 フィーリングやイメージ主体の演出ゆえか、サナトリウム内の患者たちの描写が単に陰鬱なものにしか感じられず、その中で孤立していくヒロインにシンパシーを寄せることができない。風吹ジュンや荻野目慶子、中嶋朋子など芸達者の個性で何とか持ちこたえている部分もあるが、それ以上のものを演出は引っ張り出してはおらず、ごひいきのヒロイン真木よう子の熱演も報われていないのは悲しい限り(綺麗に撮れているのが救いだが)。音楽はエンニオ・モリコーネの息子アンドレア・モリコーネだが、別に何と言うこともなし。いずれにせよ、一体この映画は何を観客に問いかけたかったのか、生きる希望? 魂の再生? すべて弱いのが一番の難点だ。
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