松久淳、田中渉原作によるベストセラー小説を『深呼吸の必要』の篠原哲雄監督が映画化した恋愛ファンタジー。それを見たふたりは永久に結ばれるといわれる伝説の花火“恋する花火”を軸に、天国と地上に生きるふたりの男女の出会いを優しく描き出す。
ロングセラーとなった書籍「天国の本屋」シリーズの第1部と第3部を1本の映画にまとめた作品。生きているのに天国の本屋にスカウトされたピアニストの健太と、伝説の“恋する花火”を復活させようと奔走する香夏子。天国と地上で、失われたひとつの恋を追いかけるふたりの物語。 行動的な女性・香夏子と、死んでしまった彼女の叔母・翔子の二役に竹内結子がチャレンジ。特に前者は彼女が得意とする“チャーミングな猪突猛進娘”を、例によってアクティヴに好演。かつて翔子の恋人だった花火職人・瀧本に扮した香川照之が、わずかな出番ながら木訥たる存在感を見せており、そのラストカットは感涙もの。今ひとつ話の焦点が絞り切れていないきらいはあるものの、篠原哲雄監督は誠実な演出で、この不思議なラブトーリーに涼やかな読後感を与えることに成功している。
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