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SP THE MOTION PICTURE 野望篇SP THE MOTION PICTURE 野望篇
ある日、尾形率いる四係のメンバーは、六本木ヒルズのイベント会場で警護に当たっていた。そんな中、これから起こりうる惨劇を特殊な能力“シンクロ(同調)”で感じ取った井上は、傘を持ったスーツ姿の男をマークするよう仲間に知らせる。だが笹本が声をかけた途端、その男は逃走。井上らは都内のど真ん中で壮絶な追跡を繰り広げ、ようやく地下鉄の構内で男を確保する。しかしこの騒動をマスコミに大きく報じられたことから、井上は...

予告編
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解説
特殊能力を持つSP(要人警護官)がテロリストに挑む姿を描いたTVドラマ『SP(エスピー) 警視庁警備部警護課第四係』の劇場版第1弾。監督は、TV版で演出を手掛けた波多野貴文。出演は「おと・な・り」の岡田准一、「鈍獣」の真木よう子、「春との旅」の香川照之、「のんちゃんのり弁」の松尾諭、「ハイキック・ガール!」の神尾佑、「孤高のメス」の堤真一など。正式タイトルは「SP THE MOTION PICTURE 野望篇」...続きを読む

ストーリー
警視庁警備部警護課第四係機動警護班隊員・井上薫(岡田准一)は、自殺した理事官に対して「仕方がないだろ。大義のためだ」と係長・尾形総一郎(堤真一)が発した言葉に、猜疑心と困惑の色を浮かべ対峙する。その出来事から1ヶ月。東京の街は、何事もなかったかのように毎日が過ぎ、どこを見渡しても平和な日本の姿があった。だが、そのウラでは、日本という国家のシステムを根底から揺るがすようなテロが企てられており、全ての脅威は、六本木の街から始まろうとしていた……。公安の目をかいくぐり、不穏な動きを見せる国家の要職を担うキャリア官僚たち。その中には、与党幹事長・伊達國雄(香川照... 警視庁警備部警護課第四係機動警護班隊員・井上薫(岡田准一)は、自殺した理事官に対して「仕方がないだろ。大義のためだ」と係長・尾形総一郎(堤真一)が発した言葉に、猜疑心と困惑の色を浮かべ対峙する。その出来事から1ヶ月。東京の街は、何事もなかったかのように毎日が過ぎ、どこを見渡しても平和な日本の姿があった。だが、そのウラでは、日本という国家のシステムを根底から揺るがすようなテロが企てられており、全ての脅威は、六本木の街から始まろうとしていた……。公安の目をかいくぐり、不穏な動きを見せる国家の要職を担うキャリア官僚たち。その中には、与党幹事長・伊達國雄(香川照之)の姿も含まれていた。相次ぐ脅威への過剰反応(シンクロ)に苛まれる井上。さらにテロリストの魔の手は、笹本絵里(真木よう子)、山本隆文(松尾諭)、石田光男(神尾佑)ら第四課のメンバーにも襲い掛かってくる...続きを読む

【公開日】 2010年10月30日
【製作年】 2010年
【製作国】 日本
【上映時間】 97分
【配給】 東宝
【監督】 波多野貴文
【原案・脚本】 金城一紀
【音楽】 菅野祐悟
【出演】 岡田准一 真木よう子 松尾諭 神尾佑 野間口徹 香川照之 堤真一

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『SP』プロジェクトの集大成!

今回の映画『SP-野望編-』は、以前フジテレビ系列の深夜枠ドラマとして放映されていた連ドラ『SP警視庁警備部警護課第四係』という。セキュリティーポリス、通称『SP』の活躍を描いた物語の完全続編となっています。

映画を見ようと思う方、DVD購入を考えている方の大半がドラマ視聴者で有る事と思いますので、今回は、それを前提にレビューをさせて頂きます。

まず、第一に上記でも触れて居る様に、今回の映画版SPはドラマの最後で井上(V6岡田演じる主人公)が、本当の敵が尾形(堤真一演じる井上の上司)である事に感づき始めた、まさにその後からスタートします。つまり、登場人物の紹介やバックグラウンド設定の説明等と言った箇所はほぼ皆無で、初っ端から尾形率いるSPがイベント会場の警護を行っている場面から始まります。その為、ドラマ未視聴者にとっては基本的に分らない事だらけでスタートする訳ですが、基本そんな人たちは稀にしか居ない訳ですし、ドラマで放映した内容を逐一説明するのも、せっかく『ドラマの続きを見に来た』人たちにとっては単なるストレスでしか有りません。私としてはこういったドラマを見ている事前提での映画は嫌いではありません。この様な手法で完全続編としてもらう事で映画のストーリーのみを楽しみに見れるわけですから。

このSPの主な見どころと言えば『SPという枠に留まらない大胆なアクションシーン』『一癖も二癖もある、敵役のテロリスト』そして『様々な思惑の中で交錯する人間関係』『SP独特の演出の仕方』といった物があげられると思います。それらについて、映画館で鑑賞した上での感想と考察を記します。

まずは『大胆なアクションシーン』に付いてです。連ドラ視聴者の方は分って居られると思いますが、これは言わずもがなです。素晴らしい出来であったと言えます。元々このストーリー全体が『SPは今や唯の動く壁』では役に立たない。と言う事を前提にアクションシーンも組まれているので、ただ単純に要人警護の為に逃げ回るだけでは有りません。
基本的に『テロリスト』と聞いて、想像するのは中東などでよく行われる『自爆テロ』等だと思いますが。このSPで描かれるテロリストとは『人間を殺傷する事に対してのプロ』なのです。ドラマ内でも軍人かぶれの敵キャラが居た様に、素人の力技では制圧できない様な猛者たちが立ちはだかります。
今回も冒頭のイベント警護〜不審人物確保までの流れで出てきたテロリストは、冒頭で相手をするには惜しいと思うくらいの強さ。棒術・組み手・喧嘩殺法、全ての対人スキルに秀でた敵を相手に、井上らSP達も鍛え抜かれた警護術・制圧術を駆使して渡り合っていきます。そして息の付かせぬ冒頭でのアクションシーンの後で、井上がいつもの一言『すいません。手錠忘れちゃったんで・・・』
一気にSPの世界に引き込まれます。今までのシリーズファンであれば何の違和感もなく視聴可能でしょう。むしろ映画版になって、カメラワーク等もさらに大胆に・迫力の有る物へと変化し、今まで以上の興奮を味わえる事は間違いなしです。

そして、次の見所『独特の雰囲気を醸し出す敵達』に付いてですが、これもバッチリ。今回もまたしっかりと気持ち悪い・不気味なテロリストたちが揃っています。上記でも述べた様に今作SPで描かれるテロリストとは単なる破壊者ではなく、ピンポイントでの殺傷に長けたヒットマンとしての色合いが強いです。更にその各々が、己のスキルや頭脳に絶対的な自信を持っており、通常であれば人生最大の作戦で有ろう『テロの決行・要人の殺害』という行為を、まるで日常風景の一部の様に捉えている感が有ります。
その自信から来る、独特の表情や行動は、見ていて非常に気持ち悪いです。良い意味で。強硬に大量破壊兵器で圧倒するでもなく、余りに慎重になって暗殺じみてしまう様な感じでもない。まるで『自分たちならば、要人殺害など容易い』と言わんばかりに、表情一つ変える事無く任務を遂行する。そういった SPでのテロリスト像は今回も健在。
さらに今回は尾形が纏めるテロリストと言う事で、幹部クラスも数人姿を見せ、彼らが一体どの様な手法で井上達に迫ってくるのか。そういった点にも要注目です。

三つめの『様々な登場人物の人間関係』ですが、これは非常に第2作目・革命編が気になる所です。ドラマ版ではハッキリと『SP部隊VSテロリスト集団』という構図が成り立っており、あまり味方の中で何か事件が起きるという事は無かったのですが、映画版では今まで味方だった尾形は敵と味方、両方と繋がりを持つ人物となり、それらを探る公安部隊もテロリストたちに目を付けられます。更に主人公の井上に至っては、CM等でも有る様に尾形が味方に引き込もうとしている事で非常に危うい立場に。その他にも、井上・尾形両名の仇でもある総理大臣の今後の関わり。更に総理の座を狙おうとする、テロリストと繋がっている政治家の存在。尾形を欠く形でテロリストと渡り合う事になるSP部隊。尾形が手なずけているテロリストの幹部連。
これら様々な立場・状況に置かれている登場人物たちの、誰が生き残り、誰が脱落していくのか?一体どの様な結末をむかえる事になるのか。今回の野望編では主にそれらの関係性の説明の意味もあった様ですので、革命編での進展が非常に気になります。それらを事細かに想像しながら鑑賞するのも面白いでしょう。

最後に『SPならではの演出等』については、ドラマと同じです。しかし、映画版だからと言って無理繰り変化を求めずに、普段通りの手法で作り上げられているので、難なく世界観に浸る事が出来ました。その内容としては、アクションシーンでも流れるクラシックやオペラ音楽等が要素の一つでしょう。
プッチーニを初めとする有名な音楽が多数流れ、物語を盛り上げます。知らない人が聞くと『アクションとクラシック?』と感じるかもしれませんが、これが合うんですよねw緩やかに始まり、サビの部分で厳かに盛り上がっていくクラシック音楽は、テロリストたちの不気味さ加減、流れるようなアクション、危機感を感じさせる空気など。様々な箇所で重要な役割を果たしてくれます。

以上見所に付いてはこの様な感じになると思います。基本的に私自身、ドラマ時点からSPのファンだったので若干偏った意見になってしまいますが。既に一流の映像作品である事は間違いない。そう思います。

これらを踏まえて総評として
・内容はストーリーの完全続編。無論映画版の新しいストーリーでは有るが、キャラのバックグラウンド等を知って居ないと、鑑賞に支障をきたす可能性あり。事前にドラマ版を全編チェックしましょう。
・アクションシーン等、見ごたえの有るシーンに付いては映画版となり、更に進化を遂げたものになっている。言葉は変だが、有る意味『下手な3D映画よりも、よっぽど迫力が有った』ように思えた。
・ドラマ版の最後で明かされた、尾形の野望や今後のビジョンなども今回の野望編で明らかになり、善悪の彼岸が曖昧になる事で、より話の内容に重みが増した感が有る。それぞれが、現状に対してどういった結論を出す事になるのか。注目していきたい。
・せっかく映画版なんだから一回にまとめてよ。という方も居るかも知れない。しかし私は前後篇で長い尺を取って貰った事は非常に有りがたい。今回では人間関係の変化も描かれているので決着までを無理に詰め込めば、全体が単なるダイジェストになってしまったでしょう。しかし2作に分けて貰った事で、安心して次回作を楽しみに待つ事が出来ます。


こんな感じでしょうか。ドラマの時点からのファンであればDVD購入に付いては損は無い筈。きっと何回見直しても『凄い』と思える映像作品だと思う。
連ドラ時点の内容を知らない人は、今からでも遅くは無い。DVDレンタルなどで、ドラマの内容を予習してから映画版に挑みましょう。

以上、購入の際の参考になさって下さい。
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