想像の翼をぐんぐん広げ、千年前の町の姿やそこに生きる幼い姫まで思い描く。 そんな少女・新子が、転校生・貴伊子や仲間とともに過ごす、楽しくも切ない季節。 ゆったりとした自然に囲まれた山口県防府市・国衙。 平安の昔、この地は「周防の国」と呼ばれ、国衙遺跡や当時の地名をいまもとどめている。 この物語の主人公は、この町の旧家に住み、毎日を明るく楽しく過ごす小学3年生の少女・新子だ。 おでこにマイマイ(つむじ)を持つ彼女は、おじいちゃんから聞かされた千年前のこの町の姿や、そこに生きた人々の様子に、いつも想いを馳せている。 彼女は“想う力(ちから)”を存分に羽ばたかせ、さまざまな空想に胸をふくらます女の子であり、だからこそ平安時代の小さなお姫様のやんちゃな生活までも、まるで目の前の光景のようにいきいきと思い起こすことができるのだ。 そんなある日、東京から転校生・貴伊子がやってきた。 都会とは大きく異なる田舎の生活になかなかなじめない貴伊子だが、好奇心旺盛な新子は興味を抱き、お互いの家を行き来するうち、いつしかふたりは仲良くなっていく。 一緒に遊ぶようになった新子と貴伊子は同級生のシゲルや、タツヨシたちとともに、夢中になってダム池を作る。そして、そこにやってきた赤い金魚に、大好きな先生と同じ「ひづる」と名前をつけ、大切に可愛がるようになる。やがて新子たちは、学校が終わるとこのダム池に集まって過ごすようになっていた。 しかし、ふとしたことから「ひづる」が死んでしまい、それを機に仲間たちとの絆も揺らぎ始めていく。 そんななか、新子は「ひづる」そっくりの金魚を川で見かけたという話を聞き、貴伊子や仲間たちと金魚探しを始めるのだった。 そして、みんなの心が再びひとつになりかけたその時……。
マイマイ新子
『マイマイ新子と千年の魔法』は、アニメであってアニメではありません。 少なくともアニメらしいアニメではないのです。 人は空を飛ばず、空想上の生物は活躍しません。 現実から逃避した物語で遊びたい人は、きっと失望しますから、見ないでください。 おまけに泣きたいぐらいに古い。切ないほどに身近です。 ここに描かれている人物は、過去、現在、未来のすべてに、生きて実在しているフツウのアナタだからです。 新子の魔法は、一度かかると永遠に覚めません。覚めない魔法……なぜならスクリーンから与えられたものではなく、見る者の心の中で、切なく懐かしく、しみじみと起きた変化であり、人の思いは時を越えて行き来できるという確かな発見だからです。 私たちはいま、大自然の危機に直面し、生き迷っています。 そんな時こそ、古い教科書のページを捲って、私達はどこから来たのかを確認するべきではないでしょうか。 そこにはきっと、未来への処方箋が隠されています。麦畑の緑の海や小川のきらめき、目に見える生と死、家族のつながり、子供たちの背負った哀しみの影の中に……古いけれど永遠に変わらない人間の原風景の中に、処方箋を読み解く呪文が在る……。 今こそ古いものほど新しい……その発見こそ、覚めることのない魔法です。 あるいは、こうも思うのです。このアニメ世界こそが本来の姿であり、高度成長に狂った昭和三十年からの年月こそ、日本と日本人は「物質的に豊かになれば、幸せになれる」という間違った魔法に掛けられていたのではないか。新子は私達に魔法を掛けるのではなく、解き放とうとしているのではないだろうか。 世界は単純ではなく、生きるのは困難だけど、すべての子供たちに、自分の心の底に流れる水の美しさを知って欲しい。千年の時を流れる小川は、現代の都会の子供にも流れているのだと。 それを教えてあげるのは私たち大人の役目ではないでしょうか。
予告編
ワーナー・マイカル・シネマズ劇場案内
ストーリー
昭和30年代の山口県防府市国衙。平安時代には周防の国と呼ばれ、遺跡や当時の地名を今もとどめているこの町で、小学3年生の少女・青木新子(声:福田麻由子)は旧家に暮らしている。おでこにマイマイと呼んでいるつむじを持つ新子は、祖父から千年前の町の姿や、そこで暮らしていた人々の話を聞いては、その時代の様子を想像力豊かに思い描いていた。ある日、東京から転校生の島津貴伊子(水沢奈子)がやってくる。都会育ちの貴伊子は田舎の生活になかなか馴染めないでいたが、好奇心旺盛な新子は彼女に興味を持ち、2人はお互いの家を行き来するうちに仲良くなっていく。新子と貴伊子は、同級生のシゲルやタツヨシたちと一緒に、ダム池を造る。そのダム池に、赤い金魚がやってくる。その金魚に、大好きな先生の名前であるひづると名付けた新子たちは、放課後になるとダム池に集まり過ごすようになる。しかしある日、ふとしたきっかけでひづるが死んでしまう。すると彼らの絆も揺るぎ始めていく。そんな折、ひづるに似た金魚を川で見たという話を新子が聞く。そこで新子は仲間たちと、金魚探しを始める。再び彼らの気持ちがひとつになりかけるが、そこに思わぬ展開が訪れる。
スタッフ
- 監督・脚本: 片渕須直
- 原作: 高樹のぶ子
- エグゼクティブプロデューサー・製作: 丸田順悟
- 製作: 千葉龍平 / 吉田剛 / 赤尾嘉文
- 企画: 堀健一郎 / 鈴木忍 / 丸山正雄
- キャラクターデザイン・総作画監督: 辻繁人
- 音楽: 村井秀清
キャスト (声の出演)
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主な上映劇場
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