パリ20区、僕たちのクラス
監督:ローラン・カンテ
移民が多く暮らすパリ20区の公立中学校。正しい国語を身につけさせることこそ生徒たちの将来の幸福につながると信念を持つフランス語教師のフランソワだったが、様々な出身国を持つ24人の生徒たちが混じり合う新学期の教室で、思いがけない反発や質問に翻弄されてしまう。去年は素直だったクンバは反抗的な態度で教科書の朗読さえ拒否する始末だ。また、自己紹介文を書かせる課題が大きな波紋を巻き起す。
予告編
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解説
フランスの国語教育の現場をドキュメンタリー・タッチに描く群像劇。演技経験のない出演者たちの自然な演技と先の読めない脚本が評価され、第61回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞。監督は、「ヒューマンリソース」のローラン・カンテ。出演は、元教師で本作の原作『教室へ』著者のフランソワ・ベゴドー
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ストーリー
パリ20区にある中学校の教室。始業のベルが鳴っても、24人の生徒たちはなかなか席に着こうとせず、全員着席するのに15分はかかる。そのうえ教師に注意されるまで、帽子も脱ごうとしない。しかし彼らは、教師の言い間違いは嬉々として指摘する。そんな生徒たちに囲まれた国語教師のフランソワ(フランソワ・ベゴドー)は、この中学校で4年目になる新学年を迎えていた。移民も多いこのクラスの生徒たちは、出身国、生い立ち、将来の夢もみんな異なる。フランソワは彼らに、正しく美しいフランス語を教えようとするが、スラングに親しんでいる生徒たちは反発する。フランソワは国語を、生きるための... パリ20区にある中学校の教室。始業のベルが鳴っても、24人の生徒たちはなかなか席に着こうとせず、全員着席するのに15分はかかる。そのうえ教師に注意されるまで、帽子も脱ごうとしない。しかし彼らは、教師の言い間違いは嬉々として指摘する。そんな生徒たちに囲まれた国語教師のフランソワ(フランソワ・ベゴドー)は、この中学校で4年目になる新学年を迎えていた。移民も多いこのクラスの生徒たちは、出身国、生い立ち、将来の夢もみんな異なる。フランソワは彼らに、正しく美しいフランス語を教えようとするが、スラングに親しんでいる生徒たちは反発する。フランソワは国語を、生きるための言葉を学ぶこと、また、他人とのコミュニケーションを学び、社会で生き抜く手段を身につけることだと考えている。フランソワは生徒たちに言葉が持つ力を教えるため、彼らとの何気ない対話ひとつひとつも授業のうちと考え、真剣に向き合っていく。フランソワは24人すべての生徒に真正面から対峙し、悩んだり葛藤したりする。生徒たちを人として対等に扱おうとして、その未成熟さに苛立ちを抱くこともある。一方の生徒たちはそんなフランソワに、率直なことばや態度で応じていく。様々な個性を持つ生徒たちは、この1年間で何を学んでいくのだろうか
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【監督】ローラン・カンテ
【製作】キャロル・スコッタ/カロリーヌ・ベンジョー/バルバラ・レテリエ/シモン・アルナル
【脚本】ローラン・カンテ/フランソワ・ベゴドー/ロバン・カンピヨ
【原作】フランソワ・ベゴドー「教室へ」早川書房刊
【撮影】ピエール・ミロン
【編集】ロバン・カンピヨ/ステファニー・レジェ
【衣装(デザイン)】マリー・ル・ガレック
【助監督】ミシェル・デュボア
【出演】フランソワ・ベゴドー/ナシム・アムラブ/ローラ・バケラー/シェリフ・ブナイジャ・ラシャディ/ジュリエット・デマーヌ/ダラ・ドゥコゥール/アルチュール・フォジェル/ダミアン・ゴメズ/ルイーズ・グランベール/ジャン=ミシェール・シモネ/アンヌ・ラングロワ/ジュリー・アテノール/チーフェイ・ホァン/ウェイ・ホァン/フランク・ケイタ/アンリエット・カサルアンダ/リュシー・ランドロヴィー/アガム・マレンボ・エメネ/ラバ・ナイト・ウフェラ/カルル・ナノール/エスメラルダ・ウェルタニ/ビュラク・オジルマズ/エヴァ・パラディゾ/ラシェル・レグリエ/アンジェリカ・サンシオ/サマンタ・スピロ/ブバカール・トゥレ/ジュスティーヌ・ウー
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笑って、泣いて、ぶつかって生きる。
パリ北東の端にあるというパリ20区は、移民や低所得者層の多い所謂下町地域だそうだ。決して治安が良いとは言えないこの
地域だが、言い換えれば人種のるつぼでもあり様々な考え方に触れる機会の多い場所でもある。その中に建てられたとある中
学校。本作はその中のあるクラスを受け持つ教師フランソワ(フランソワ・ベゴドー)と、性格も人種もバラバラの24名の生徒達が
日々繰り広げる授業風景を中心に描いた、半ドキュメンタリー風タッチの作品だ。
生徒のキャストを決定するに当たり、監督のローラン・カンテが採った方法は現役の生徒を対象にしたオーディション選考。選ば
れたのは演劇経験皆無のごく普通の子供達。ローランは作品を撮る前に、1年間に渡って彼らとワークショップを行い、信頼関係
を深めていったという。結果スクリーンに映し出された24名の生徒は実に伸び伸びとした自然な演技を見せ、とてもこれが初映画
出演とは信じ難い位見事なものである。
日々行われる授業は「戦場」という形容が相応しい。まず教師はばらばらに散らばってぐだっている生徒達を説得して席に座らせ
ることから始めなければならない。漸く席に座ってからも生徒達は隙あらば反論の機会を狙っている。彼らは「こういう決まり事だ
からとり合えず覚えろ」と言う理論に対し、「なぜ?」の問答を繰り返す。教師は彼らにその理由から説明をし納得させなければな
らない。
1対1の問答は時にクラス中を巻き込んだ大騒ぎとなり、教師の発した何気ない一言が学校全体の問題に発展することもある。し
かしその緊張感ある問答の中には教師と生徒との完全に対等な立場としてのコミュニケーションが成立している。自分はこのやり
とりを観て現代の日本の教育現場に一番必要なものがこのクラスに息づいている気がした。
クラス中の生徒間に出来上がった「役割」を各役者が担っている処も面白い。とりわけ印象に残ったのがエスメラルダという女生徒。
彼女は常に教師のフランソワに反抗的な態度をとるが、実は非常に聡明で大人びた考えを持っており、他23人の生徒が言えない
ことを代表し教師に進言するリーダー的役割を果たしている。大人達(教師)から観れば小憎たらしいことこの上ない存在だが、よ
く彼女の発言に耳を傾けると結構理に適ったことを主張していることに気付く。教師のフランソワは辛抱強く彼女との対話を行い双
方の納得する道を探すが、その姿は非常に感動的である。
また印象深いのが、同僚である教師同士のコミュニケーションだ。あるクラスで問題が起きると、職員室にて皆で意見を述べ合い
徹底的に議論を交わす姿勢は教室と変わらない。また一方で、妊娠等のプライベートな幸せ事には意見の相違を超え全職員でシ
ャンパンで祝福する。そこには確固たるチームワークというものが存在し、職場の理想としても捉えることが出来るだろう。
作品中では様々な事件が起きるが、敢えてその問題に対して強引な解決策を示してはいない。その点は非常に教育現場の実情
に沿った創りとも言える。しかしそれらの事件を越えて尚活き活きと輝く教師と生徒達の表情には清々しさを感じずにはいられない。
是非本作を観ることで現場の一人になって頂き、生徒・教師・親それぞれの立場で様々な課題について共に考えて頂きたい。
現代社会の縮図
まずは演じる教師も生徒も俳優でないことに驚く。しかし彼らはワークショップで培った演技力で違和感はどこへやら。俳優でしょと思わせるほどの見事な演技を見せる。そして演出法。普通なら生徒たちの家族とのエピソードなどが盛り込まれていてもいいはずが舞台はあくまで学校。それもほとんどが教室と職員室。それぞれが生まれ育った環境も違うゆえに毎回そう簡単には進んでくれない授業と、そんな環境であるがためにおきる問題。本来描かれるであろうエピソードを描かなくても生い立ちなどはそんなシチュエーションからはっきり見える。またそれらは学校だけの問題にとどまらず現代社会の縮図のようでもあるという見方も出来る。
この作品がカンヌでパルムドールを受賞した背景にはそうしたことも理由としてあったのではないかと感じた。
学級崩壊寸前の教室
無題
こんばんは☆
先日はコメントありがとうー
やっと劇場で映画観て来てblog再開そろそろしようかなという気持ちになってきました
いつまでも不安や悲しい想いはあるけど前向きにいきたいですよね。
Re:無題
辛い気持ちを吹き飛ばすような前向きな気持で、この震災をみんなで乗り越える事が出来たら。
明日はきっと今日より良くなっているはず、そう信じましょう!