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泣きながら生きて日本で大学に進学したい、と期待を胸に来日した35歳の男は現実に打ちのめされた。働きながら勉強するつもりでいた彼が到着したのは、北海道の阿寒町の番外地だったため、仕事がない。そこを脱出しなければ、生活することさえままならない。同時に彼の希望も消えることになったが、彼は現実を受け入れ、自分の娘に夢を託すことで目指す方向を変えていく。その決意は家族が離れて生活することを意味していたが、同時に家族の絆を再確認し、家族全員が前を向いて生きていくことも意味していた。父親から娘へ託された夢のバトン。娘は次世代にそのバトンをつないでいく。そのバトンは生命のバトンでもあった。

予告編
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ワーナー・マイカル・シネマズ劇場案内
ストーリー
複数の仕事をかけもちしながら日本で働き続ける中国人男性と、上海に住む家族との10年を追ったドキュメンタリー。監督は『小さな留学生』などのTVドキュメンタリーを手掛けた張麗玲。ナレーターを「ニセ札」の段田安則が務める。1989年、日本語学校で学ぶために35歳の丁尚彪(ていしょうひょう)は、妻と娘を上海に残して北海道・阿寒町にやってくる。学びたくても学ぶことのできない厳しい時代に育った彼は、日本の大学に進学することで人生の再出発を図ろうとしていたのだ。だが、彼は働いて借金を返しながら勉強をしていくつもりであったが、過疎化が進むこの町に仕事はなかった。やむなく町を脱出、東京へとたどり着くが、語学学校の生徒ではなくなった彼にビザの更新は認められず、不法滞在者の身となってしまう。それから7年後の1996年。丁は一度も中国に戻ることなく日本で働き続けていた。早朝からいくつもの職をかけもちし、深夜に安アパートへ帰り日本語を勉強する毎日。稼ぎは全て妻子に送金している。そんな彼を支えているのは「娘に一流の教育を受けさせたい」という強い思いだった。再出発への希望が消えた彼は、次の世代へと夢を託したのだ。そんな中、アメリカへ渡り医者になりたいという夢を持っていた娘の丁琳(ていりん)は、努力の末、1997年にニューヨーク州立大学に見事合格。出発の日、上海空港で一人去っていく娘の姿に母親は人目もはばかることもなく号泣した。そして、ニューヨークへ向かう途中、東京での24時間のトランジットを利用して、父と娘は8年ぶりの再会を果たす。長い間別れて暮らしてきたが、娘にとって父は変わらぬ父であった。東京、上海、ニューヨーク。お互いを信じ、お互いを思いやりながら、それぞれの生活は続く……。

スタッフ
  • 演出・撮影・企画・プロデュース: 張麗玲
  • 構成・編集・撮影・プロデューサー: 横山隆晴
  • 撮影: 遠藤一弘
  • 音響効果: 田中政文 / 渡辺真衣
  • ナレーター: 段田安則

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