文化大革命が残した傷跡と、その闇に飲まれ翻弄される人々にスポットを当てたドキュメンタリー。文化大革命の折に下放した紅衛兵だった両親によって、生まれてすぐに棄てられた娘が親探しに奔走する。『蟻の兵隊』の池谷薫監督の初監督作品。
ベルリンをはじめ世界各国の映画祭で上映され、惜しみない賞賛を浴びた感動作!文化大革命が残した傷跡と、その闇に飲まれ翻弄され続ける人々に光をあてた傑作ドキュメンタリーが、待望のソフト化。黄土高原が果てしなく続く“中国革命の聖地”、延安。その貧しい農村で育った何海霞(フー・ハイシア)は、自分を棄てた実の親を探していた。彼女の両親は、文化大革命の折に下放した紅衛兵だった。彼らの間では恋愛さえも禁じられ、違反者は“反革命罪”として処罰される時勢であったため、海霞は生まれて20日で子供のいない農家に養子に出されてしまう。黄玉嶺(ホアン・ユーリン)もまた、かつての下放青年のひとりだった。生みの親を探す海霞の協力者である彼には、国家により子供を中絶させられたという悲痛な過去があった。海霞の親探しに奔走するなか、彼は無実の罪で投獄されたという古い仲間の声に衝き動かされるように、冤罪事件の真相究明にも乗り出す。失われたアイデンティティと、人としての尊厳を取り戻すため、封じ込められた歴史の暗部に足を踏み入れた市井の人々の苦闘を描く本作は、『蟻の兵隊』の池谷薫の初監督作。当初はNHKのハイビジョン番組として2年に渡る取材を経て制作された。170時間にも及ぶ撮影テープは、02年度芸術選奨 文部科学大臣賞を受賞した吉岡雅春が編集。人物の複雑に揺れる心理を、喜怒哀楽を絡ませ詩情豊かに切り取っている。音楽は、巨匠チャン・イーモウ監督の『初恋の来た道』や『この子を探して』などを手がけた三宝(サン・パオ)。親子の再会、イデオロギーに翻弄された青春…30年に渡る封印を解き、忌まわしい記憶と対峙する人々の姿に心を揺さぶられる、感動の物語。
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