いつから人間だけが地球上の生き物たちの時間を追い越し、走り出してしまったのか・・・。構想35年、写真家であり『ナージャの村』『アレクセイと泉』を監督した本橋成一が描く自然と共に生きる人々の物語。バオバブおじさん、百年前、千年前、僕たちはどんな暮らしをしていたの? 千年という時間を生きてきたバオバブの樹と、その樹にいのちをもらって現代を生きる人間たち。さあ、あなたの中にねむる太古の記憶を呼び覚ます旅に出よう。主人公は村に住む12歳の少年モードゥ。30人を超える家族の一員で、農作業や牛追いの手伝いをしながらコーラン学校に通っている。将来、外国に行って商売をしたいという夢があり、本当は公立のフランス語学校で勉強したいと思っている。映画には、彼の陽気な家族達や、憧れの女性であるファトマ先生、盲目の祈祷師や縄作りの名人など個性豊かな村人達が次々に登場する。そして彼らの暮らしはいつでもバオバブの樹と共にある。その情景はどこか懐かしく心地が良い。バオバブと共に生きる人々の日々の営みを通して、我々が忘れかけている自然と共存する生活について静かに問いかける環境ドキュメンタリー。