告白
スタッフ
監督・脚本: 中島哲也 原作: 湊かなえ 撮影: 阿藤正一 / 尾澤篤史 照明: 高倉進 録音: 矢野正人 美術: 桑島十和子 編集: 小池義幸
キャスト
松たか子 岡田将生 木村佳乃
発売日: 2011-01-28
解説
湊かなえの同名ベストセラー小説を原作に「パコと魔法の絵本」の中島哲也がメガホンを取ったミステリー。教え子に娘を殺された中学校教師の復讐を描く。出演は「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の松たか子、「僕の初恋をキミに捧ぐ」の岡田将生、「キラーヴァージンロード」の木村佳乃など
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ストーリー
とある中学校。終業式後のホームルームで、1年B組の担任・森口悠子(松たか子)は、37人の生徒を前に語り出す。私の娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです……。一瞬、静寂に包まれる教室。事件に関わった関係者たちの告白によって真相が明らかになっていく中、森口は、罪を犯して反省しない犯人に対し想像を絶する方法で罰を与える……。... とある中学校。終業式後のホームルームで、1年B組の担任・森口悠子(松たか子)は、37人の生徒を前に語り出す。私の娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです……。一瞬、静寂に包まれる教室。事件に関わった関係者たちの告白によって真相が明らかになっていく中、森口は、罪を犯して反省しない犯人に対し想像を絶する方法で罰を与える
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生徒に娘を殺された
とある「告白」をするところから始まる。
普段もこうなんだろうと想像のつく騒々しい教室だったが、
担任の話が普通ではないことを徐々に感じ取り、
次第に静まり返っていく冒頭。
序盤は担任による長い長い説明のみなのだが、
一体なんの話をしているのかというぐらい、
支離滅裂だったバラバラな内容がだんだんと集約されてくるところが素晴らしい。
その告白を聞き、クラスが大騒ぎになったときには
映画を観ている側ももう目が離せなくなっている。
担任の淡々とした態度と冷静さがむしろ恐怖感を煽り、
「彼女は本気である」という説得力につながっている。
担任による告白が終わると、今度は別の登場人物の視点による告白に代わる。
それによって過去の状況がさらに細かく理解でき、
問題の終業日以降の各生徒の状況も語られていく。
各俳優が非常にハマり役で、登場人物の演技から目が離せない。
それぞれが自分の大切なものを守りたいために行動しているのに
バランスが少し崩れているために壊れていくのが素晴らしく怖い。
その原因となっているのが、終業日の告白によって立てられたわずかな波風なのだ。
新任教師の熱血ぶりが空回りしている様子がまた恐ろしく、
告白を聞いた生徒たちだけが、なぜ空回りなのかを理解している。
中学生の頃の独特の未熟さというか、
すべて他人事として片づけようとしたり、脆いプライドが邪魔をしたり、
自分を守ることに必死な様子がまたリアル。
最初から最後までまったく無駄のない脚本。
あまりにも見事なデキ。最高傑作と言える必見の作品。強くオススメ。
女教師の告白
自分は素人ながら、中島監督は突出した才能を持っていると感じました。
映画全体として、人間の弱さ、残酷さ、冷酷さ、愛情のなさが描かれます。
それらが原因で、大切な何かを失い、人生が狂っていく人たちの告白がテーマとなっています。
人間に対する否定的なメッセージが、
最後、少年の告白で肯定的なメッセージに変化するところに、
この映画のミソがあると思います。
自分の存在が誰かに認められること、
必要とされ、愛されることが人間にとっていかに大切で、
それらが切れて、人間に対する信頼を失ったとき、
世の中や他者に対する否定的なアクション(たとえば犯罪)が生じるということだと思います。
人間は自分が幸せになりたいと望んでおり、
他者も幸せになってほしいと望んでいる、
残酷さ、冷酷さ、愛情のなさはそれらが満たされないことに対するアクション。
本当はシンプルでただ、それだけなのではないかと思いました。
感受性の鋭い人は、この映画はインパクトがありすぎなので注意してください。