首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の、二日間に亘る逃亡劇を描いた作品で、2008年本屋大賞受賞、第21回山本周五郎賞受賞作品。 著者にとっては2年ぶりの書き下ろし作品で、全部で五部から構成されており、第四部「事件」が作品の大半を占めている。序盤から多くの伏線がはられ、魅力的な登場人物が数多く登場し、今までの著者の作品のエッセンスが数多く含まれていることから、現時点で著者の集大成と評されている。この作品では、主人公の昔の彼女や、大学のサークル仲間といった周りの人たちとの絆が大きな役割を果たしている。これには、人間が生活する上で一番重要なのは、人との繋がりや、信頼なのではないかという作者の考えが込められている。タイトルはビートルズの同名の楽曲から引用されており、作中にも「ヘルプ!」「カム・トゥゲザー」などのビートルズナンバーのタイトルが散見される...
劇場案内
青柳雅春(あおやぎ まさはる)
本作の主人公。数ヶ月前まで宅配便の配達ドライバーをしていた。 数年前、当時のトップアイドルであった凛香を暴漢から助け出したことがあり、一躍時の人となった。 金田首相暗殺の濡れ衣を着せられ、逃亡の身となる。
森田森吾(もりた しんご)
青柳雅春の学生時代の友人。「森の声が聞こえる」と冗談混じりながらも、観察力に基づく鋭い洞察を示す。結婚し子供がいるが、多額の借金を抱えている。 久し振りに再会した雅春に、彼が巨大な陰謀に巻き込まれていることを伝えた後、乗っていた車が爆発する。
金田貞義(かねだ さだよし)
今回の首相暗殺事件の被害者にして、作中における現総理大臣。若く聡明な人物で、国民からの信頼も厚い。
樋口晴子(ひぐち はるこ)
青柳雅春の大学時代の恋人。今は別の男性と結婚し、七美という4歳の娘がいる。
小野一夫(おの かずお)
青柳雅春が学生時代に所属していたサークルの後輩。一時、逃亡中の雅春を匿うことになる。愛称は「カズ」。
岩崎英二郎(いわさき えいじろう)
青柳雅春が勤めていた宅配会社の従業員。当時、新人だった雅春に宅配のいろはを教えた。ロックが大好きで、あらゆる物事をロックに結びつけようとする。ヒップホップに偏見がある。警察とやりあうより妻との喧嘩を恐れる。
轟(とどろき)
花火工場「轟煙火」の社長。従業員たちからは、親しみを込めて「ロッキー」と呼ばれている。
保土ヶ谷康志(ほどがや やすし)
仙台病院センターに入院中の還暦を過ぎた患者。ひょんなことから逃亡中の青柳雅春と出会い、彼の逃亡を手助けすることになる。
田中徹(たなか とおる)
仙台病院センターに入院中の患者で、保土ヶ谷康志とは同じ病室。年齢は三十五歳。病室のテレビで首相暗殺のニュースを知る。
佐々木一太郎(ささき いちたろう)
警察庁の警備局総合情報課の課長補佐。今回の首相暗殺事件において、捜査の指揮をとることになった。 髪形や幼く見える顔立ちから、ポール・マッカートニーを連想させる。青柳雅春を犯人と断定し、執拗に追跡する。
凛香(りんか)
数年前、青柳雅春によって、暴漢から助け出されたトップアイドル。整形の疑いがある。
キルオ
二年前に仙台で起きた連続殺人事件の犯人。「キルオ」とは、マスコミが勝手につけたネーミングである。彼の事件が契機となり、仙台市は監視カメラ「セキュリティポッド」を導入することになる。本名は「三浦」
鎌田昌太
キルオに大金を積まれ部屋を貸し日本中を親子で旅する。一年半ぶりに部屋へ戻る。来年小学生に上がる息子が一人いる。
ワーナー・マイカル・シネマズ劇場案内
PR